「飛燕」機体復元プロジェクトに熱交換器製作で参加させて頂きました。
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大戦中に日本軍で使用された唯一の液冷エンジン戦闘機「飛燕」―。

2016年、コーヨーラドは川崎重工業株式会社様による飛燕の機体復元プロジェクトに「ラジエーター/オイルクーラー」及び「燃料冷却器」復元品の設計・製造で参加をさせて頂きました。
このページではこの熱交換器2種を復元するに至るまでの工程をご紹介させて頂きます。
1. 「飛燕」について
過給機を搭載した液冷エンジンを載せ、高速性や旋回性等卓越した性能を持った「飛燕」は当時約3,000機が製造されました。

そして、液冷エンジンを高出力化し機体を大改修した「飛燕」U型。
このU型量産機のベースとなったのが今回の復元実機である「飛燕」U型改試作17号機です。当機は終戦後、日本の航空機が次々と廃棄・破壊される中、米軍横田基地で展示されていたことから奇跡的に生き残った、日本で唯一現存する「飛燕」です。

(関連リンク:「飛燕」とは: [Wikipedia: 「三式戦闘機」]


川崎重工業株式会社様が2016年、創立120周年を迎え、開催された記念展でメイン展示となった「飛燕」修復実機。その記念すべき復元プロジェクトに創立60周年を迎えた弊社が参加をさせて頂いたことに少なからずご縁を感じます。
2. 熱交換器復元品の設計
飛燕の熱交換器復元にあたり、形状は勿論のこと、性能面でも熱交換器として忠実に働きをなすものが求められました。

飛燕の熱交換器は「燃料冷却器」と「ラジエーター/オイルクーラー」の2種。

復元にあたり参考となる情報資料は、前者に関してはイギリスに現存している実物から採寸した設計図/概略図が存在しましたが、後者に関しては図面は破棄されており、現存するものは飛燕設計担当の土井武夫技師による文献と覚書、そしてラジエーターカバーの現物のみでした。

これらのわずかな情報から図面を作成しなければならず、ラジエーター/オイルクーラーの設計は困難を極めるものでしたが、実機の計測等入念な調査を経て、約90日間かかりようやく図面は完成しました。
3. 熱交換器復元品の製作
「ラジエーター/オイルクーラー」
中央のオイルクーラーを左右のラジエーターが挟みこむ形状です。
上部に取り付けられたパイプは5種類計6本、ラジエーター/オイルクーラー中央から左右対称の形状は全て手造りにて製作されました。
真鍮板から叩き出しによる成型ですが、左右の形状が寸分の誤差なく仕上げられた、まさに職人技が凝縮されたパーツです。
チューブは対辺距離8mmの六角管を用い、ラジエーターは左右それぞれ4つずつ、オイルクーラーは8層のコアから構成されています。
設計段階で決められたチューブ本数を組み上げると全体の寸法に誤差が生じ、組み込みは難航を極めましたが、金属と対話する繊細な溶接技術で見事に寸法通り収めることができました。
「燃料冷却器」
直径120mmの小さな燃料冷却器もまた全て手作業により復元。
チューブには先端を六角にした丸管が用いられています。
弊社技術の粋を結集し実施された「飛燕」熱交換器2種の復元。
その製作難易度は高く、完成までの道のりは決して易々たるものではありませんでしたが、今回の熱交換器復元を通して得た経験は、我々にとって大きく、そしてかけがえのない財産となりました。

この様な貴重な機会を頂きました川崎重工業株式会社様及び当プロジェクト関係者の方々に深く御礼申し上げます。

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