匠file01 奥山浩之
KOYORADの匠奥山浩之小野逸和永田俊雄
このエントリーをはてなブックマークに追加
全社員の中で最も長い勤続年数でありながら、その人柄から「イッチャン」と呼ばれ、温和な笑顔で周囲を和ませる小野逸和は昭和28年三重県度会郡で生まれた。15歳の時、まだ見ぬ社会に対し不安を持ちながらも江洋ラヂエーター製作所(当時)に入社。
以来、銅コアの組立、構成部品であるチューブやプレート作成の後、営業サービス部門にて3年間修理を担当。現在は製造第一グループで主にダンプカーやショベルカーなどの建設機械用ラヂエーターや発電機用ラヂエーター、さらには船舶用ラヂエーターなど、特殊・大型熱交換器のディッピングを担当する。
銅製ラヂエーター製造におけるディッピングとは、大型ラヂエーターの場合、チューブとプレートの根付け部分をハンダ槽にくぐらせて溶接する工程であり、小野はディッピングされた銅製ラヂエーターに対し、より強度を高めるため溶接部分に更に手作業でハンダ溶接を施す、いわゆる“ハンダ盛り”のエキスパートである。
乗用車用ラヂエーターに比べ、使用環境のより厳しい大型ラヂエーターでは高い強度が求められる。
ハンダ盛りは漏れなどの不具合を防ぐ補強工程であり、大型ラヂエーターの耐久性を左右する最も重要な工程の一つなのだ。

チューブとプレートの根付部分にハンダを盛る際、周囲の構成部品を熱で溶かさないよう細やかな注意が必要である。
周辺部品の一つであるフィンの板厚は薄いものではわずか0.03mmとその溶接作業には極めてデリケートなタッチが要求される。

「火の強さとスピード、それと(バーナーの)角度が合ってはじめて上手くいくんです」

火が強いと周辺も溶ける、スピードが速いとハンダが溶けず十分に回らない、スピードが遅いと必要以上にハンダが流れ落ちる…これらをくぐりぬけ、そのバランスが三位一体となる極めてわずかな瞬間をとらえる。そこでベストなハンダ盛りは形作られるのだ。
小野は自分専用のバーナーを手に取ると、いともたやすくその“瞬間”を繰り返し、ラヂエーターのチューブからプレート部分になめらかな角度のハンダ盛りを形作ってみせた。

「この(ハンダ盛り部分の)なめらかな曲線はディッピングで塗布されたハンダとハンダ盛りで塗布したハンダ、その2つが馴染んでいる証拠なんですよ」

周辺部に支障をきたさず、かつこの二層のハンダを馴染ませるのが至難の業なのである。
因みに、小野が使用しているバーナーは他者が使用しているバーナーと比べて、口径が大きく、火力が非常に強い。
作業者にとって、このバーナーを上手く扱うことができれば作業スピードを上げることができるのだが、あまりの火力の強さに現在小野以外は使いこなすことができないという代物なのである。

サイトマップ | プライバシーポリシー | お問い合わせ